住環境はとても大切で、できるならばよい家に住みたいと誰しも思うと思います。
転勤族だった僕は合計7回引越しをしましたが、引っ越すたびに家賃は上がっていました。
支出の中で家賃が占める割合は大きく、ここを見直すことによる変化を僕は体験しました。
見栄で選んだ背伸びした住居
借金が徐々に増え始めていたとき、タイミング悪く僕は異動を命じられました。
それまでの転勤は一家帯同だったのですが、家を建ててしまった僕は単身赴任をすることになります。
単身赴任前から家計はギリギリだったのに、この単身赴任の二重生活が僕の破滅への道への速度を加速させました。
単身赴任は何かと大変でした。
ありがたいことに栄転だったので、立場は一つ上がり店長になりました。
初の店長で期待と不安が入り混じる中の家探し。
これまでに何度も転勤をして慣れていたはずなのに、
何件か内見をして、一番家賃が高かったところに決めてしまいました。
当初は現実的にボロくても家賃が安いところにしようと思っていたのですが、
実際に内見した際、一緒に行っていた元嫁の、
「こんな汚いところは泊まりに来たくない」
の言葉と、
完全なる見栄である、
「店長がぼろい所に住んでいたら後輩が夢をなくす」
という自分に都合のいい理由が、一番高い家賃を選ばせました。
転勤の最初のうちは各種手当てがあるので、
それほど家賃のダメージもなかったのですが、
2ヶ月、3ヶ月経つとボディブローのように家賃が利いてきました。
さらには家を建てたばかりであったこと、
子どもが一番可愛い時期であったこともあり、
毎週高速を飛ばして家に帰るという暴挙をしていました。
もちろんこの時も家計を握っていたのは僕で、
苦しい現状は一切言わず、
たまに元嫁が大丈夫なの?と聞いても、
大丈夫、なんとかするという謎の強気発言を繰り返していました。
こんな生活をしていたらお金なんていくらあっても足りません。
見る見るうちに借金は積み重なっていき、
もうどうしようもない所までいってしまいました。
その頃は消費者金融でさえ断られるという有様でした。
全てを捨てて家賃38000円のところに住む
もうどうにもならなくなったところで元嫁にカミングアウトしたものの、
時既に遅しで、さらにはそこで元嫁とぶつかる事を避けてしまい、
結局お得意の「どうにかする」を連発していました。
どうにかすると言っても出来る事は限られています。
まず家に帰るのを止めました。これは仮面夫婦生活の始まりを意味していました。
次に固定費を減らさなければと住居を変えることにしました。
地元の不動産に通い、とにかく安いところを探してもらうと、
会社にも駅にも近いが、とにかくボロくて古い家賃38000円の家が見つかりました。
この家に引っ越すだけで、3万円近く毎月浮きます。
選択の余地もなく引っ越すことに決めました。
結果的にこの選択が、何かひとつの踏ん切りとなり、
それ以来新聞配達のバイトを始め、甘い話は全てシャットアウトし、休みの日も日払いのバイトをして、
一切家族の下へは帰らないという生活になりました。
家賃を下げたことにより、支出自体は減り、さらにバイトをすることで収入を増やしたので、
少しだけですが心に余裕が出来るようになったのですが、
この生活は自分の時間もなく、稼いだものは全て借金と家族に消え、自分の手元には残らず、
さらには過密で過酷な労働時間にせざるを得ないという、
なんのために生きているんだろうと思ってしまうような日々をもたらしました。
この時期は本当に辛くしんどかったです。
現実を見ないで、そしてお金ときちんと向き合わないで、さらにはきちんとお金について話し合わなかったことが原因です。
あれだけの思いをしたので、さすがに同じことはもうしませんが、
この一連の出来事で支出というもの、とりわけ固定費というものの大事さを痛感しました。
生きていくためには衣食住が必要です。
食事は節約できますし、洋服も節約できます。
ですが、住居の費用は一度決めたら小さくすることはまず無理です。
この毎月決まって出て行くお金、すなわち固定費をどのようにするかで毎日の生活は変わってきます。
固定費の中でも一番大きいのが家賃です。
僕は店長としての見栄を捨て、いつ来るか分からない家族よりも現実の生活を選択し、
快適な生活よりも家賃が安くなることを選択してみました。
結果としてこの選択は大正解だったと言い切れます。
なぜならば、収入も支出もだいたいの場合大きく動くことはなく、
収入から支出を引いた残りでやりくりをしなければいけない中で、
家賃を安くすることはやりくりに使えるお金を増やすことにつながったからです。
家もボロかったけれど住めば都でしたし、
なにより心に余裕が出来たことで、現実的な選択ができました。
少なく出来るなら固定費は安くするに越したことはありません。
一時の快楽のために無理した生活をするのではなく、
固定費を安くして余ったら貯めてそれをもとに好きなことをする生活の方が何倍も楽しいと、
今は心から思うようになりました。