どん底に向かって落ちていっているとき、本当にお金がありませんでした。
しかし立場は店長。さすがに身だしなみを気にしないわけにもいかず、生まれて初めて1000円カットに行きました。
美容師になりたかった高校時代
僕は高校3年生の時、初めてパーマをかけました。
たった数時間の出来事なのになんだか自分が変わったような感覚になり、とても衝撃を受けました。
気持ちも前向きになり、やはりいろんなことを経験しないとわからないなと実感できた出来事でした。
この体験から美容師という職業のすばらしさを感じ、高校3年の進路の時には本気で美容師になることを考えたほどでした。
結果的に美容師の道には進まなかったのですが、僕は美容院がとても大好きになりました。
髪型を変える、髪の色を変える。たったそれだけのことなのに、
気分も変わり、気持ちも変わり、僕にとって美容院は癒しの空間でした。
それは大人になっても変わらず、お気に入りの美容院に行くために車を飛ばしたり、
時には気分転換のために美容院に行ったりしていました。
床屋をどこか馬鹿にしていたところがあり、さらには巷に増えだしていた1000円カットなんてもっての外で、
あれはおしゃれに気を使わなくなったおじさんや、小さい子供の行くところだと決めつけていました。
貴重な貴重な5000円
美容院は床屋より高い印象があります。
実際のところはどうなのかわからないのですが、だいたいカット+シャンプー・ブローで3000円~5000円必要でした。
本当にどん底に落ちるまでは、無理をしてでも美容院にいっていたのですが、
どん底状態に落ちると美容院に費やす5000円が捻出できなくなりました。
髪はボーボーに伸び、さすがに切らないと見苦しいような状況。
おまけに立場は小売店の店長。
自分で切る能力もないし、本当に切羽詰まった僕は近所にあった1000円カットの床屋の門をたたきました。
入ると自販機に1000円の入れカット券を購入します。
並び順にパイプ椅子に座り、ドキドキしながら待ちました。
1000円カットのイメージは悪くて、
適当に切られる、長さが不揃いになる、要望なんて聞いてもらえないし、
最新の流行何て知るわけもないだろう、せめて普通になればいいかと半ば諦めながら待っていると、
自分の番が来ました。
席について理容師さんと話して驚いたのが、予想に反して細かく要望を聞いてくれ、
そして最近の流行もきちんと把握していたことでした。
僕は思いをつげ、覚悟を決めます。
いよいよカット。ジョキジョキジョキ・・・軽快に鋏はすすみ、
数分後、シャンプーの代わりに髪の毛をドライヤーで全て飛ばして完成です。
完成後の姿を鏡で見ると、自分の想像していた状態の数十倍良い状態でした。
美容院にいっていたらなくなった5000円が1000円で済み、
さらに仕上がりも満足いくレベルでとても良いお金の使い方ができたなぁと思えました。
一度実際に施術を受けたことにより、変な先入観がなくなり、
さらに満足できたものであったのでその後もしばらく1000円カットに行きました。
お金の使い方は人それぞれですし、価値観も人それぞれです。
好みもあることなので、同じ髪を切るという行為一つとっても、1000円でも高いと感じる人もいれば、安いと感じる人もいます。
僕は1000円カットはダサくなると思っていたのと、1000円カットに行くなんて恥ずかしいと思っていたのですが、
そんなことを言っていられない状態になって初めて、
現実的な判断をした結果、自分が先入観にとらわれていたことを知ることができました。
そして5000円かかっていたところを、1000円で抑え、4000円を余らせたことにより、
実際問題とても助かりました。
お金に余裕ができた今はお気に入りの美容院に行っています。
でもお金が厳しい時はこういう選択をすることもとても大切なんだなと実感できた出来事です。